柔らかに往く
「おい、偽善者。調子乗んなw
空気嫁」
この言葉を言う人の精神の密を辿って明らかに言おう。
それを言われたのは、私だったとしよう。
私を偽善者と呼んだ人が、その言葉を言った瞬間に、その人の中に走った正義感は、きっとあなたの下腹当たりから出て、あなたの鼻筋当たりを快く駆け抜けたろう。
その正義感は、あなたを酔わすに足りた。
なぜなら、あなたは自分に心地よい正義を真実だと信じた。
気持ち良かったろうか。
それなら素晴らしい。
調子に乗んな。
ただ、私は、自分を焼く火に堪えかねて、人に喜ばれることを、心を砕いて期するのだが。
例えば、それが、本当に、苦しんでいる誰かに喜んでもらえることだったなら、私を制止するこの言葉を吐いたあなたは、その苦しんでいる人の心を思わず、私を制止したことをもって、喜んでいる。
あなたは苦しむ人を忘れて喜ぶ。
私の目は、あなたの言葉があなたに返るのを見て、泣く。
空気読め。
言葉にならない空気のようなあなたに私は、出来る限り笑顔を持って、耳を傾けよう。
ただ、空気であればこそ、応答も無かろうw
と、私はあなたが立っている向こうへ行こう。
それでは。